発光深夜、わたし朝がこわい
ぱちぱちの光をみた、まっすぐに道、その分断を、秒速光速、決して昼間にはみられないその光は、あの頃抜けたトンネル、電車へ射す光、それよりも本当の光にみえた、みえるひとにだけ、みえるような、そんな真夜中、ああこうしてあのひとも、歩いていたのだっけ、と思い出すと、すこしだけ、こんなことも悪くないのかもなと思い直すことができる、いつだって夜、どんな真夜中、真っ暗、すべてが黒、まったくの闇ではないから、ここは東京だから、辿り着いた公園をすこし過ぎて、うしろから聴こえる鼻歌と全力の自転車、わたしがいたことでの静止、向かい、光るのは軽自動車の上に鎮座する動物のぬいぐるみたち、どこにもいけず、ここにしかいれず、ただ光っていて、この世界には光があふれる、あふれて、うもれて、だきしめて
きのうは脱出失敗、うしろから半袖で、もう秋だからさむいよそりゃあね、という理由から脱出断念、ただ近くのコンビニまでのお散歩と化す、まるいあたたかい、まるいつめたいをそれぞれだとおもって買ったがそれはおもいちがい、おもいおなじ、ただとなりにいたいだけ
きょうは脱出成功、ふとんをだきしめるかわりのわたしだったのだろうけれどそれをそうとおもわないようにできず、ただじい、と夜が朝にかわるのを待つのは至ってしんどく、至ってどうしようもなく、その絡まりを解いてそっと抜け出す、真夜中へ、光へ–
こわいこわいこわい、と何に誰にどこに対してかわからないまま、というよりもいまは万物全てへのこわい、をきゅう、と閉じ込めて、涙のかわりは君へのおかわり、これは終わりじゃなくて始まりなんだって物語みたいに言ってやるよ
どうせ忘れるんでしょう、と言うけれど、忘れないことでしかわたしは出来上がらないのだし、あなたとのこと、これまでのこと、忘れられたらば放り投げて宇宙の隙間、さらさら流るのは掴めるのかということを試して壊して殺してしまえたら、忘れられたくなくて聴くのでしょう、ぱったりと離れてしまうことが本当は、とてつもなく、哀しいのでしょう、あなたを憶えることでしか日々を生きていけないよ
もう言葉が出ないから君の眠る部屋へ帰ろう、お茶とエクレア買って帰るから許してね