わたしの脊髄あなたにあげる
今日の夢はバスに乗っていて、目が覚めて身支度をしてバスに乗った。歩くこともできたけれど、正夢にしてみようか、とバスに乗った。けれどその光景は夢にはならず、生身のわたしがふつうにバスに乗った、ということだけ確かだった。夢もいつか、すべて忘れてしまうから。
「うんうん、優秀な人は、ちょっと天然なものだよね」
きこえる声と、きこえない声、あなたには、何が届く?
体にねじを埋めるなら首のうしろ、
体の一部をもらうなら脊髄のひとかけ、
そう言ってわたしたちは12時間を超えて一緒にいる
歩いている、月をみる、星をみる
いつまでだってそうしてられるねって言い合う、さむい、と届く声に、上着を借りる、わたしには似合わない迷彩柄も虎もブルゾンもその大きさも、秋と冬のすきまに溶けていく