「溢れる」

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あふれる、と、こぼれる、が同時に起きる、どちらも「溢れる」「溢れる」と書きます、あなたはどう読みますか同時に読めますか同時にそれがわたしのなかで起こることを読めますか?

耐えていたのにな表面張力、守ってたのにな膜

涙は右目からかしか出ない、ぽたぽた、ぽつぽつ、ぽろぽろと「ぽ」の字のように片っぽだけ、わたしの心は片っぽ、あなたへもう片っぽあげたからもうないの、あげたよ片っぽのすべて

わたしはしぬならばころされたいとおもっている、ひらがなで書けば多少許されるのではないかとおもいひらがなで記します、このあいだは通り魔とか、とか言ってしまったけれど、ほんとうに大事なの、わたしはあのひとにころされたいとおもっていること、それくらいすきだということ、あのひとのつくるものを、永々この身体でみていたいからわたしは生きているということ、いまもずっとわたしは誰かのために生きていたいと願っています

その目にころされたい、とおもうことを一日ならまだしも、二日おもうとなるとそれはもうどうにかなりそう、それは同時におなじ文字が起こってしまう、ああその目にころされたい、あなたの頭の上の雪に、前髪に、残って、しまったままころされたい

わたしのことは知っているけれど何にも知らないでしょう、知らないで、知らないままでいて、どうしよう、どうもしない、どうしようもないくらい「溢れる」

 

同じくして同じことを考えているひともいて、すごく近い、とおもうけれど遠い、だって顔も知らない、声も知らない、背も服装も足の大きさも歩く速度もなにもなにも知らない。けれど知っている、同じことを考えること、あのスイッチのシーンをとても愛しくおもったり、あの夜の友達を忘れられないでいたり。

わたしたちは選ぶ、でもすべて正しいなんて選べない、25歳のまえのひの、生き方を、すべて良い_正しいなんて、選べないのだとおもいます。けれど信じましょう、大丈夫だよ、大丈夫、わたしたちは、まだすべてのまえのひを、生きているから。あたらしい話をしよう

 

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世界が白に埋まった日、ここで言う世界は生活、そう窓の外、スーパーまでの道、玄関の前、ゆきだるまをひとりで7個、つくったよ、人の家の玄関でひとりでつくったよ、写真も動画もないけれど、あなたを待って、いたんだよ

朝、白と光が反射する、そのことを思い出す、思い出す、一度忘れていたんだ、あなたはみていましたか、思い出しましたかわたしに言ったこと、夜のシチューを横目にコーヒーといちごを体にしまい込んで、エレベーターに雪合戦、いつかこの日々も、忘れたことを思い出して憶えて、すべてのいまを溶かして「溢れる」。

1:11 am  •  24 January 2018