繭と青い目
あたらしい部屋、屋根裏のような、三角がみえる、そこに置いたベットから天井、は、まっすぐみえない、なにもかも、今は、まっすぐにみれないのだから、みえないのだ、なにもかも、
遮断/屈折
その境目を。生きている
白くて細かくて視界をいくつも分断するその、網目の、天蓋に覆われているその部屋にうずくまって座りこんで寝ころんで動かずにただじっと、なにか、怯えるようで、隠れるようで、恐れるようで、けれど、待っている、吸い込まれるような天蓋の先、天の蓋、天蓋っていうのは棺に差し掛けるでしょう、教会で覆われるでしょう、それはすなわち世界を閉ざすこと、時間を殺すこと、生を罷めることを意味するのだ、この部屋の、この天蓋は、
【わたしを守る】
「守る?一体なにから守るっていうんですか」と問われた日から、わたしは誰かに守られることを、守られたいと望むことを、女の子がつよく生きていかねばいけないこのご時世にそれをおもうことを、すっかりぱったりやめてしまった、あきらめてしまった、ああそうね、わたしはわたしで成立せねばいけないのだとおもったのでした、けれど僕だけは言ってくれた、
「君は僕が守る」
それはきっとまぼろし、戯言、あの時間だけの、あのときだけの、きっと僕は憶えていないと言う、夢だったと言う、いい、それでもいい、なんだっていいから、あの瞬間だけは、確かにあなたが守ってくれた、それはきっと
-生きていくことだったのかもしれない
パジャマでひたすら打ち続けるこの文字を言葉を紡ぐ瞬間、その、ついすこしまえの
瞬間/まったくの平日午後
なのに、最後の夏の日なのに、晴れているのに
雨が降った、雷が何度も鳴いて、雨が泣いて、けれど晴れていた、ああ今なのだ、光の絶望、希望の影、それは今なの
正しくなんかない、誠実さの欠片もない、凛としてない猫背である、まっすぐなんかない、折り曲がってぐしゃぐしゃになって溶けたアイス、投げつける玄関、泣き叫ぶエントランス、うずくまった緑の花に包まれて、シャワーはずっと流れて、僕は連れ出す、歩いて歩いてばっかりそんな日々はどこへここへいまへいつへ
- ああすべて忘れたくなりますか?
天蓋のなか、無数のぬいぐるみ、いくつものすべてのぬいぐるみは白くて、青い目をしている ゲームセンターの透明な箱から出られたのにね、またこうやって、閉じ込められる、ここはきっと天涯
-ああ、繭のなかに、いるみたい
破ったら、生きていける?その先に光が、ある?わたしはそれを、まっすぐに、みれる?
真意/誠意
その境目を。生きてみたい。