いくら探しても見つからなかったのは本当は、それじゃない

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包丁、いくら探してもどんな扉あけても見当たらないから小さなぎざぎざナイフで梨を切ることにした

見事にぎざぎざの面、ああこれが、つるつるだったら舌ざわりもちがうのだろうし、よろこんでくれるのだろうし、冷えピタもポカリもゼリーもヴェノム特集の雑誌もなんだって買ってくるよ、けれどもとてつもない時間がかかる、ひとりで広い本屋さんもスーパーもぐるぐると思考が目が頭がまわり正常に歩くことすらままならず、ぽてっと落ちたゼリー、ぶにゅっと溶けた桃、帰って寝たふりしてて起こしてポカリ飲ませてあげるとちょっとだけわたしは大丈夫なんだという気持ちになるし、あなたといたら大丈夫なんだとおもってしまって、天丼たべて具合わるいというのに(うつしたのはもれなくわたしだということは確かなので懺悔)、おかゆじゃ足りないというからスープも追加、たまごたまごたまご、割れない関係と割れたたまごがあなたの口に流れゆくのをみている、グレーとピンクでスプレーで木の板、裏側に線を引くようにペインティング、ベランダで、血を落としたTシャツ、血まみれの足、まだわたしの体に血は流れていて、交わることのないあなたとわたしの血は、細胞より遠いのか近いのか、ありとあらゆるすべてを忘れてしまおうそうしていつまでもとなりでねむろうそうして終おう

12:47 am  •  3 October 2018