真夜中 色とりどりの罪をのせて

あなたの寝息を聞いてから通話を、やめる

耳元でうるさいくらいの寝息は毎日やってこないから、ちょっと愛しくおもえているし

抱き枕と勘違いしてベッドに戻るたびに探しあぐねてつかまえられてもわたしは生きた人間だ、人形にはなれないまま、なれたらいいのに、でもそんなのつまんないよね、美しさは最上に、ああけれど、人間で生まれてしまった、だからまたひとつ大人になる春

三月のこと

なぜか何年も使い続けていた手帳をやめて日記帳を買った一月をプレイバック、

書いても書いても書き忘れても書き戻しても、思い出せないことがふえた、言語化できないシーンばかりの脳裏、言葉が生まれる前に心が生まれてどうにもこうにも毎日の証を継続するのはむつかしく

毎日を生きている、って証拠はわたしはすきじゃないから、消えていたいから、と言い訳をする

電車がトンネルから抜ける瞬間、光がみえる、けれどその光はほんとうに光、なのかを考え続ける朝の日々があって、四文字で構成されたタイトル、の文庫本、シリーズ全3巻を貪るように読まないと生きた心地がしなかった、呼吸ができなくて本の言葉のあなたの前だけで、わたしはわたしの光を手に入れることができていた息継ぎもままならず、わたしがあなたに出会うまえのひの、日々

その日々はいつかの過去、わたしを重ね合わせたもので、現在の満ちたものが私の貪欲さを鈍感にさせている気がしてならず、衝動は満たされていないものから生まれるのかもしれませんね、あふれる気持ちはただのテンプレートな文面になってしまう、だいすきを繰り返す、そこの温度を測ってみようか、おそる・おそる

ただいまこの衝動は昨晩の食物アレルギー事件によるもの、わたしはえびがだいすきだった、だいすきすぎて甘えびのみパックされたものを買ってきてもらい夕飯に嬉々としてその殆どを所有しだいすきを食べ尽くした

その結果すきすぎてアレルギー反応を起こし、以来、えびは避けるしかできず、あのあまい、つるん、海のなかの砂糖食べたの、みたいな感触は小学生のままの、その記憶を食べているにすぎず

そして昨晩、ボイルされたえび、揚げられたえび、すりおろされたえび、たちが一斉にやってきて、ふだんなら大丈夫なのに、許容を超えたのだろうか突如として真夜中、音になって襲われる

だいすきすぎてそれが痛みになるのはとても人間らしいね、痛覚のある生物について言葉を交わすことが増えた、そのひとつは人間、あなたのことがだいすきだったことが痛くなるってばかみたいだけれど愛しくてばからしい、でもきっとやめられない、偏った愛でしかひとをおもえないんだもの

髪の毛にあまり頓着執着愛着なく、任せてしまうとざっくばらんになっていた、けれど歪んだ似合ってるよがいちばんうれしいね、まっすぐに届かなかったけれど反射して増幅する光となるし短くなった毛先がぴょん、となるのはそのせい、軽くなったあたま、重い心をのせて向かうは四月

わたしが書くのは呼吸に近いもので、書かないと、残さないと、忘れてしまうでしょう、いまを、ここを、わたしを、あなたを

あなたへ、春へ、四月へ、わたしへのたった今を永遠するために

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1:25 am  •  11 March 2018