銀河劇場、たいやき、秋のまなざし

言葉はてんでからきし嘘のものだ、だけれど、わたしには言葉しかないのだった、だからわたしは嘘、わたしの体はすべて嘘、わたしの口から手から垂れる言葉はすべて嘘、あなたにこの嘘を嘘だとおもったままでいいから聞いていてほしい

いつも気がついたら朝になって朝にしてしまう、ひとしきり言葉にされた場所へ向かう午前八時半、もうすっかり秋だねなんて、もうすっかり、のあとの季節をとなりでこうして越してきた、ああもう、そうして、一年だ

茶店について特に意味のある話はしない、食べたかったパンもコーヒーも来なかったらしくいつもあなたへわたしはうまくできない、当たり前のことをできないでいる、けれどこうして何時間だって何日だっていれるのでした、そうして無為な時間、けれどすごく特別な、今だけの、わたしたちだけの時間は過ぎてゆく

帰り道はぐるりと曲がる、秋の光のふもと、歩いてずっと、自転車も走り込みもわたしたちにはなくって、あなたのことだけはいくらでも書いていける書いていたい残していたいとおもうのです

いつか思い出になる、と言いながら回していた動画をあなたは見ることはあるのでしょうか、いつか思い出すのでしょうか、いつだかの日、思い出すということは、一度忘れることだと教えてもらった、あなたはわたしを忘れてまた思い出す?

わたしたちにはもうこの距離がなんでもない、なんでもない、ということがどれだけの刹那、どれだけのどうでもいい、どれだけのあなただけ、どれだけの届かない、を孕んでいるのでしょうか。

帰ってゲームしてごはん食べてまた帰って眠って起きて辿り着いたのは劇場の暗闇、銀河を渡ってそこは宇宙、赤い星、見渡せばいい、そこに向かうまでのモノレールがいっとうに美しかった、ふたりだけが横にいて、光るのは海じゃなかったけれど、当て所もない、あなただけが、わたしの光だということ–

劇場を出て、おもうことはいつも大体おなじで、それが心地よいと感じることもないほどの同細胞。そしてまた歩いては、閉じた星のもとにわたしたちは生まれたのだと確信しざるを得ないのだった、けれど商店街をまっすぐに進んでは、たいやき片手に夜道を生きている、生きる、いま、こうして、わたしじゃなくてもあなたじゃなくても、ほんとうに、よかった?

あなたがいればなんだって物語みたいに日々がはじまる、何事もなかったようにまた帰って、半端な愛でも恋でもなんでもなくてもいいから、物語のように生きさせて生きていてあなただけがわたしの光の、物語

2:03 am  •  20 September 2018