今日しかない今日の、まえのひは今日しかないということ

美しいまえのひのことだった 明確に、あしたのまえのひである、ということが胸を、波打つ、その衝動よ 一日中、涙があふれそうで、しまいそうで、一体それが何なの、だなんて言語化せずとも解っていたというのに。明日とうとう出会ってしまうんだ、秋と冬のあいだの、朝の、新宿歌舞伎町、その真ん中で、虚構の物語、いっとう美しい、わたしだけの、わたしのはなし

 

歌舞伎町を現実だ、ほんとうの世界だ、というわたしと、あれは作りものみたいだ、と言う、君のこと

 

この感覚というのはとある春と夏のあいだ、はじめて、言葉だけでしか出会ってなかったひとと、会う、まえのひのことを、体が支配している そうだよあのひもこうだった

この、震えるほどに美しいものをまえにしたときの心を、わたしは永く、憶えていられるのだろうか こんなまえのひを、愛しくおもうのだろうか

大島弓子の世界がほんとうで、学校はうそだ、とおもっていた、って言うわたしのすきな歌人の言葉を思い出して、

ひびのことはぜんぶうそで、夢だ、わるい夢だ、とおもう わたしの美しい世界だけがほんとうだ

 

君の世界は、わたしの、ほんとうですか

 

1:38 am  •  5 November 2016